ディスプレイ広告とは
ディスプレイ広告は、スマートフォンやパソコン上でさまざまなWebサイトやアプリの広告枠に表示される広告を指します。
バナーと呼ばれる広告画像や動画で表示されることが多いため、バナー広告と呼ばれることもありますが、ディスプレイ広告と同じです。
代表的な課金形態は下記の2つです。
- インプレッション課金(1,000回表示ごとに課金)
- クリック課金(1クリックされるごとに課金)
ディスプレイ広告の配信設定でできること
ディスプレイ広告の配信設定でできることは、下記のとおりです。
- 年齢、性別、地域などの属性で絞り込む
- 興味関心、購買行動などの情報を利用し、広告を制作できる
- Webサイトを訪れたユーザーに広告を再表示できる
ユーザーの行動履歴や興味関心にもとづいてバナーを表示できるため、コンバージョン率の向上が期待できます。
ほかのWeb広告との違い(リスティング広告、SNS広告など)
ディスプレイ広告とよく比較されるのが、同じく運用型広告の一種である「リスティング広告」です。
リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれ、GoogleやYahoo!でユーザーが検索するときに検索結果に表示される広告を指します。
SNS広告は、InstagramやfacebookなどのSNSの広告スペースに表示される広告です。
「Web広告を活用して効果を出したい」と考えたときに、ディスプレイ広告を利用すべきか迷うこともあるでしょう。
次は、ディスプレイ広告のメリット、デメリットについて解説します。
ディスプレイ広告のメリット
ディスプレイ広告のメリットは下記のとおりです。
- 視覚的な訴求
- 潜在層に届く広告
- 低配信単価で数多くのリーチ数が見込める
順番に解説していきます。
視覚的な訴求
バナー画像に載せる情報としてテキストだけでなく、画像、動画を使用できます。
これにより、製品やサービスを効果的かつ視覚的に表現し、ターゲットオーディエンスの目を引くことができます。
潜在層に届く広告
ディスプレイ広告は、潜在層に届く広告運用が可能です。
検索行動など購入のための動きをする前段階のユーザーに向けて配信できるからです。
潜在層に届く広告運用をおこなうことで、自社商品やサービスの存在を知ってもらい、購入を促せます。
また、潜在層にアプローチする広告は、市場でのシェア拡大が期待できます。
低配信単価で数多くのリーチ数が見込める
ディスプレイ広告はリスティング広告と比べて、配信単価やクリック単価が安価です。
そのため、浮いた広告費を使って多くのユーザーに広告配信ができます。
また、バナー画像の視認によるブランド認知度の向上や、多様な配信プラットフォームによる配信の幅広さがメリットとなります。
ディスプレイ広告のデメリット
ディスプレイ広告には多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットもあります。
- バナーブラインド
- 広告ブロッカーの使用
- 広告のクリック率の低さ
- 競争による費用の高騰
- 広告の設計と制作の難しさ
メリットだけでなくデメリットも把握したうえで、ディスプレイ広告を運用するか検討するとよいでしょう。
ひとつずつ解説していきます。
バナーブラインド
ユーザーは広告バナーに慣れてしまい、広告にあまり注意を払わなくなる可能性があります。
この現象は「バナーブラインド」と呼ばれます。
広告を出してもユーザーから無視されるリスクがあると覚えておくとよいでしょう。
広告ブロッカーの使用
広告ブロッカーの使用によって、広告表示が抑制されるおそれがあります。
広告表示の抑制は広告主にとって課題となるため、リスクとして認識しておく必要があります。
広告のクリック率の低さ
ディスプレイ広告のクリック率は、平均値で0.5%〜1%ほどと低い傾向にあります。
そのため、クリック率を高める施策が欠かせません。
具体的には、バナー画像の訴求がユーザーの潜在ニーズを捉えられているかを分析し、改善する必要があります。
競争による費用の高騰
競争の激しい業界では、ディスプレイ広告の費用が高騰するおそれがあります。
特に、競合他社も同じ広告プラットフォームを利用して広告を出稿している場合、クリック単価が上昇する傾向にあります。
広告の設計と制作の難しさ
効果的なディスプレイ広告を制作するには、デザイン、コピーライティングなど、クリエイティブな要素を組み合わせる必要があります。
広告の設計と制作は専門知識とリソースが必要であるため、効果的な広告を制作することは容易ではありません。
ディスプレイ広告を選択する基準
ここまで、ディスプレイ広告のメリット、デメリットを解説してきました。
さまざまなWeb広告手法があるなかで、ディスプレイ広告を選択する最適な場面はどういうときでしょうか。
下記のような場面では、ディスプレイ広告が有効だと考えられます。
- 認知拡大やブランディングを目的とするケース
- 新しい業界で検索ワード自体が知られていない
- 緊急性がないサービスの訴求
それぞれ解説していきます。
認知拡大やブランディングが目的
ディスプレイ広告は検索行動をしていないユーザーにも配信できるため、認知拡大を狙う場合に効果的です。
幅広い配信枠にバナーを表示させることで、視覚的訴求が狙えます。
また、定期的な広告接触を通じて自社サービスの内容をユーザーに刷り込み、ブランド力を高められます。
新しい業界で検索ワード自体が知られていない
検索ワード自体が知られていない新しい業界である場合、リスティング広告で接触できません。
そのため、ディスプレイ広告を配信し業界認知の拡大や検索につなげることで、ユーザーに接触できます。
緊急性がないサービスの訴求
ディスプレイ広告はアパレルやコスメ関連など、今すぐに必要でない商材の訴求にも効果的です。
潜在的に悩みを抱えているユーザーに対して「そういえばこんなものが欲しかったな、悩みがあったな」と思い起こさせる効果があります。
緊急性がないからこそ、ディスプレイ広告でニーズを認識させることが重要となります。
また、不動産や車などの検討期間が長く、単価の高い商材にも効果的です。
ユーザーに何度か広告を当てることで、潜在層から顕在層へとターゲットを育成していくことにもつながります。
一方で、緊急性が高い商材には向いていないです。
例えば「トイレの水漏れ」は今すぐに対応が必要であるため、検索時に表示されるリスティング広告の方が向いているといえます。
ディスプレイ広告に必要な3つの準備
ここではディスプレイ広告に必要な準備を解説します。
必要な準備は下記のとおりです。
- 配信素材の準備
- 配信設定と予算の準備
- 委託する際の準備
ディスプレイ広告で望む成果を出すためにも、準備することを押さえておきましょう。
配信素材(クリエイティブ)の準備
配信するうえで必須となるのが、バナー画像やテキストといった配信素材です。
制作にあたって、下記のポイントを押さえておきましょう。
ポイント | 内容 | 備考 |
目的を明確にする | 広告の目的によって、制作するクリエイティブの方向性が変わる | ブランド認知度向上、製品の販売促進など、目的を明確にしておくとクリエイティブ制作に役立つ |
ターゲットを理解する | ターゲットのニーズに訴えかけるコピーや見た目にする | 自分に関係がある情報だと認識させるのがポイント |
複数のバリエーションを作成する | A/Bテストで効果的なクリエイティブを導き出す | どのビジュアルやテキストが好反応なのかを分析して改善し続けることができる |
ブランドやサービスロゴを表示する | 認知拡大やブランディングが目的の場合、ブランドを明確に伝える | ブランドアイデンティティに合致するようにデザインする |
行動を促すテキストを入れる | ユーザーの行動を促し、コンバージョンにつなげる | 「今すぐクリック」「詳細を見る」「登録する」などのテキストが効果的 |
上記のポイントを意識することで、効果的なディスプレイ広告を制作するのに役立ちます。
デザイン、メッセージ、ターゲティングのバランスを取りながら、ターゲットに訴求するバナー素材を作成しましょう。
配信設定と予算の準備
配信素材の制作と並んで重要となるのが配信設定です。
配信設定ではターゲットの年齢や性別、配信エリアなどを絞り込むことで、最小限の予算でターゲットに配信できます。
また、広告予算も決めておきましょう。
具体的には、コンバージョン1件あたりに必要なクリック数を満たすための配信数やクリック数を計算します。
例えば、1つのコンバージョンを獲得するのに100クリック必要と仮定しましょう。
また、広告のクリック単価が1クリックあたり100円であるとします。
上記の場合、1つのコンバージョンを達成するのに、1万円の広告費が必要という計算になります。
委託する際の準備
クリエイティブ制作や配信設定を準備するほかに、広告代理店に委託する方法もあります。
委託する際に進めておくべき準備がいくつかあるため、下記にまとめました。
項目 | 内容 | 備考 |
運用手数料、最低出稿金額 | 相場20%といわれる運用手数料が何%で設定されているのか、何円から配信を取り扱ってくれるのかを確認する | 代理店によって条件が異なるため、事前に確認しておく |
得意な業種、実績 | 代理店によって得意な業種や業界が異なるため、事前に確認しておく | 特にコンプレックス商材や健康食品、コスメ関連などは薬機法などの表現チェックなども必要となるため、業界に精通しているかは重要 |
レポート | ディスプレイ広告配信のレポートをどのようにもらえるかを確認する | レポート頻度や改善点の反映などを確認しておくとよい |
運用を委託する場合、準備しておくべきことは数多くあります。
委託する前に上記の項目を確認しておきましょう。
ディスプレイ広告の効果的な運用方法
ここでは、ディスプレイ広告の効果的な運用方法について解説します。
ディスプレイ広告で望む成果を出すためにも、ぜひ参考にしてください。
ディスプレイ広告で重要な目的設定
ディスプレイ広告を運用する前に、目的を設定しましょう。
目的が明確であれば、理想となる顧客像(ペルソナ)の設定、バナー画像制作や運用設定などを効果的に進められます。
目的を明確にし、具体的な戦略を持ってディスプレイ広告を運用しましょう。
ペルソナを明確にする
目的を設定したあとはペルソナを明確にします。
ペルソナが明確になることで、ユーザーの興味関心や検索行動などが具体的にイメージできるからです。
また、バナー素材のテキストを決めるうえでもペルソナは役立ちます。
ユーザーが自分ごとに捉えるような表現を考える指標となります。
ペルソナを明確にし、ディスプレイ広告の運用に役立てましょう。
PDCAサイクルを回す
配信前に決めた計画に沿って運用を開始したあとは、PDCAサイクルを回しましょう。
具体的には、見直し時期をいつにするかをチームで事前に決めておきます。
そして、決めたタイミングで配信効果をチェックし、改善できる箇所を探しましょう。
PDCAサイクルを円滑に回すことで、ディスプレイ広告の運用効果を高められます。
ディスプレイ広告に必要な費用感
最後に、ディスプレイ広告の運用に必要な費用感について解説します。
ディスプレイ広告は数種類の課金形態があり、課金形態によって相場も異なります。
課金形態の違いを押さえ、必要な費用感を把握しましょう。
ディスプレイ広告の費用相場
前述しましたが、ディスプレイ広告の課金形態で代表的なものは下記の2つです。
- インプレッション課金(1,000回表示ごとに課金)
- クリック課金(1クリックされるごとに課金)
インプレッション課金は、1配信あたり0.1円ほどです。
仮に100万回表示されれば、10万円ほどの費用が発生します。
クリック課金の場合、クリック単価は100円ほどです(キーワードによって大きく異なる)。
仮に1000回クリックされた場合、発生する費用は10万円ほどとなります。
バナー素材の費用相場
配信枠によりますが、ディスプレイ広告の配信に必要となるバナー素材は、複数サイズの展開が必要となります。
具体的には、サイズ別で4〜8種類ほどの展開が必要です。
4〜8種類のバナー画像をデザイン依頼した場合の相場感は、5〜10万円ほどです。
運用費以外でかかってくる予算の落とし穴
ディスプレイ広告は、広告運用費以外にも費用が発生する可能性があります。
ここを理解しておかないと「利益を残せると思ったけど、想定よりも経費が高くなってしまった」となりかねません。
陥ってしまいがちな予算の落とし穴ですが、大きく分けて下記の2つがあります。
- バナー素材は一度作れば終わりではない
- 運用代行費が外付けの代理店もある
ユーザーは同じ見た目の広告に慣れていくため、配信回数を経るごとにクリック率が悪化します。
そのため、A/Bテストで2種類を用意したり、配信結果からバナーを変えたりして対策する必要があるのです。
初回で制作した4〜8種類のバナー素材だけで収まらないケースは、多々あります。
意外とここが意識から抜けてしまう方が多いので、注意しましょう。
運用を委託する場合、運用費のなかに運用マージンが含まれる会社も多いですが、運用代行費を外付け請求としている会社もあります。
その際に「100万円の広告予算で計算していたが、実際の請求は120万円だった」ということがあります。
上記2点に注意し、予算組みをしていきましょう。
ディスプレイ広告のまとめ
ディスプレイ広告の基礎知識や効果的な運用方法などを解説しました。
ディスプレイ広告は検索型広告と違って、潜在層に届く広告です。
安価な配信単価で、数多くのリーチ数が見込める点が魅力です。
一方で、広告の設計と制作の難易度が高いデメリットがあります。
効果的なディスプレイ広告を制作するには、デザイン、コピー、クリエイティブな要素を組み合わせる必要があります。
配信設定をするうえで予算の落とし穴にも注意しつつ、定期的に広告効果を見直し、ディスプレイ広告を効果的に運用しましょう。