Webゼミ

STP分析のやり方5つの手順!事例や注意点も交えて解説

「STP分析がよくわからない…」 「STP分析のやり方が知りたい!」 「STP分析の事例が知りたい!」 こういった疑問や悩みに応える記事です。 【この記事でわかること】 ・STP分析の基礎知識 ・STP分析4つのメリット ・STP分析のやり方5つの手順 ・STP分析の事例5選 ・STP分析で失敗しないための注意点 ・STP分析で役に立つフレームワーク 本記事では、STP分析のやり方や事例などを解説しています。 この記事を読めば、STP分析のやり方がわかり、効果的なマーケティング戦略を立てられるようになります。 STP分析について詳しく知りたい方は、最後まで読んでみてください。

STP分析とは

STP(エスティーピー)分析とは、以下3つの要素の頭文字を取った分析方法です。

  • セグメンテーション(Segmentation)
  • ターゲティング(Targeting)
  • ポジショニング(Positioning)

自社商品やサービスを届けたいターゲット顧客を明確にし、競合他社との差別化を図るのに役立つフレームワークです。

次で、各要素を詳しく解説していきます。

S:セグメンテーション

セグメンテーションは、対象市場の顧客を細分化することで、以下の種類があります。

セグメンテーションの種類

概要

デモグラフィック(人口動態変数)

顧客の記号的な変数を可視化したもの

例:年齢・学歴・職業など

サイコグラフィック(顧客心理)

顧客の情緒に焦点をあてたもの

例:性格・趣味・興味関心など

ジオグラフィック(地理的変数)

顧客の住む地理的情報や、使用する交通機関などをまとめた変数

例:地域・人口・気候など

べヘイビオラル(行動パターン)

顧客の行動パターンや購買行動を分析できる変数

例:SNSの使用頻度・購入履歴・行動経路など

セグメンテーションをおこなうことで、セグメント(セグメンテーションで選んだグループ)の特徴やニーズを理解するのに役立ちます

基本的には、STP分析を実施する際はセグメンテーションから始めます。

T:ターゲティング

ターゲティングとは、セグメンテーションで細分化した顧客のなかから、自社がターゲットに設定するべき顧客を決めることです。

セグメントの魅力度や自社の強みとの適合性を評価し、もっとも成果につながりそうなセグメントを決めます

選定したセグメントは自社商品やサービスがもっとも価値を提供できる顧客なので、マーケティング活動の主要なターゲットになります。

P:ポジショニング

ポジショニングは、自社商品やサービスを競合他社と差別化し、ターゲット顧客を獲得するためのポジションを決めることです。

差別化するには、自社の強みや弱みなどを分析するだけでなく、競合他社にはない独自の強みを見つけることが重要です。

差別化に成功すれば、価格競争に巻き込まれることなく、商品やサービスを安定して提供することにつながります。

また、独自の強みをターゲット顧客にアピールすることで、ロイヤル顧客の獲得も期待できます。

ポジショニングは、ブランドや顧客との信頼を築くためにも重要な過程のひとつです。

STP分析4つのメリット

STP分析のメリットは以下のとおりです。

  1. 効率的にマーケティングを展開できる
  2. ターゲット顧客のニーズを深く理解できる
  3. 競合との差別化を図ることにつながる
  4. 競合他社に勝つための競争優位点を見つけるのに役立つ

1つずつ解説していきます。

効率的にマーケティングを展開できる

STP分析をおこなうことで、効率的にマーケティングを展開できます。

自社商品やサービスをもっとも適したターゲット顧客に絞り込めるからです。

ターゲットを絞り込めば、限られたリソースを最適な形で配分し、効率よくマーケティング活動を展開できます。

ターゲット顧客のニーズを深く理解できる

STP分析をおこなうことで、ターゲット顧客のニーズを深く理解できます。

セグメンテーションやターゲティングの過程で、ターゲット顧客のニーズを深く掘り下げて分析する必要があるからです。

ニーズを理解できれば、ターゲット顧客に響く文章や、求める商品やサービスの開発に活用できます。

競合との差別化を図ることにつながる

競合との差別化も図れます。ポジショニングの段階で、競合との差別化を図るための戦略を立案するからです。

自社の強みや独自の価値を明確にし、競合にはない特長をアピールすることで、市場において差別化を図れます。

差別化に成功すれば価格競争に巻き込まれる可能性も下がり、自社商品やサービスの価値を顧客に認めてもらうことにつながります。

競合他社に勝つための競争優位点を見つけるのに役立つ

自社と競合の分析をする過程で、競合他社に勝つための競争優位点を見つけるのに役立ちます。

競争優位点を発見できれば、それを軸にしてマーケティング戦略を展開し、市場での競争を優位に進められます。

競争優位点を活かしたポジショニングは差別化の成功につながり、自社が市場での競争で長期的に勝ち続けるために重要です。

STP分析のやり方5つの手順

STP分析は、以下の手順でおこないます。

  1. STP分析をおこなう目的から決める
  2. 分析するのに必要なデータを集める
  3. STP分析をおこなう
  4. 分析を基にマーケティング戦略を立てる
  5. 立てたマーケティング戦略を実行する

1つずつ見ていきましょう。

手順1:STP分析をおこなう目的から決める

最初に、STP分析をおこなう目的から決めましょう。

目的があいまいだと、マーケティング戦略にブレが生じる恐れがあるからです。

例えば、マーケティングチームで認識のずれが生まれ、一部のメンバーに不満が残るポジショニングを設定する可能性があります。

STP分析で高い成果を出すためにも、まずは目的から決めましょう。

【目的の例】

  • 新商品の販売戦略の立案
  • 既存商品の市場シェア拡大
  • ブランドイメージの向上を図るなど

手順2:分析するのに必要なデータを集める

目的を決めたあとは、分析するのに必要なデータを集めます。

セグメンテーションで必要なデータを集める方法は、以下のとおりです。

  • 公共機関や研究期間などが公表しているデータを調べる
  • 顧客にアンケートやインタビューなどを実施する
  • 顧客の購買履歴やアクセス履歴などを調べる

ターゲティングとポジショニングで必要なデータを集める方法は、以下です。

  • 競合他社のホームページを調べる
  • 競合他社のネット上での口コミを調べる
  • 競合他社の商品を購入して体験してみる

データを収集し、STP分析の精度を高めるのに活用しましょう。

手順3:STP分析をおこなう

データを集めたあとに、STP分析を始めます。

各工程ごとのポイントを以下の表にまとめたので、参考にしてみてください。

STP分析の各ステップ

ポイント

セグメンテーション

・セグメンテーションの基準を選ぶ(顧客心理、行動パターンなど)
・セグメントの規模や成長性を分析する
・セグメントの収益性を分析する

ターゲティング

・自社の強みを活かせるターゲットを選定する
・ターゲット顧客のニーズや悩みを分析する
・ターゲット顧客に適したマーケティングチャネルを決める

ポジショニング

・競合他社のポジショニングを分析する
・自社の強みや独自性を活かした差別化要因を考える(商品、価格など)
・設定したポジショニングを社内で共有する

手順4:分析を基にマーケティング戦略を立てる

分析を基に、マーケティング戦略を立てます。

STP分析をおこなうだけでマーケティングで成果を出せるわけではないので、必ずマーケティング戦略を設定しましょう。

【マーケティング戦略を設定する際のポイント】

  • 戦略に一貫性をもたせる
  • 4P分析やSWOT分析など、ほかのフレームワークも用いる
  • どのチャネルを活用するかを決める

STP分析の結果を基にし、一貫性のあるマーケティング戦略を立案しましょう。

手順5:立てたマーケティング戦略を実行する

最後に、立てたマーケティング戦略を実行します。

商品開発やプロモーション活動など、戦略に沿って具体的な行動を実施しましょう。

また、行動を実施するだけでなく、目標の進捗管理をおこなうことも大切です。

行動する過程で得られた経験を基に、戦略を改善していきます。

STP分析に基づいて立案した戦略を着実に実行し、マーケティングの成功につなげましょう。

STP分析の事例5選

ここでは、STP分析の事例を5つ紹介します。

  1. ユニクロ
  2. すき家
  3. マクドナルド
  4. スターバックス
  5. メルカリ

ユニクロ

ユニクロは以下の流れで、アパレル市場で不動のトップシェアを獲得しました。

STP分析の各ステップ

概要

セグメンテーション

低価格帯のアパレル市場に参入

ターゲティング

高品質なカジュアル製品に特化することで、幅広い年齢層を顧客としている

ポジショニング

「安価で高品質」というポジションを確立

若者や高齢者層などにターゲットを絞る企業が多いなか、ユニクロは明確にターゲットを絞っていないのが特徴です。

高品質なカジュアル製品を提供し続けたことで「安価で高品質」というポジションの確立に成功しました。

すき家

すき家は以下の流れで競合他社との差別化に成功しました。

STP分析の各ステップ

概要

セグメンテーション

「外食」「内食」「中食」のセグメントで細分化

ターゲティング

メインの男性層だけでなく、ファミリー層もターゲットに選定

ポジショニング

テーブル席や豊富なメニューを展開し、ファミリー層から高い支持を得る

牛丼チェーンというと男性層がメインですが、すき家はファミリー層からの支持を集めることに成功しました。

マクドナルド

マクドナルドは以下の流れで、ファストフード市場でポジションを確立しました。

STP分析の各ステップ

概要

セグメンテーション

ファストフード市場のセグメントで細分化

ターゲティング

若者やファミリー層をターゲットに選定

ポジショニング

低価格やドライブスルーなどの特長を活かし「手軽においしい食事を楽しめるファストフード」というポジションを確立

低価格や利便性を追求した結果、ファストフード市場で成功を収めました。

スターバックス

スターバックスのSTP分析の流れは、以下のとおりです。

STP分析の各ステップ

概要

セグメンテーション

10代後半から70代まで、幅広いセグメントで細分化

ターゲティング

時間帯によってターゲットを細分化

朝:出勤前のサラリーマン

昼:主婦

夕~夜:学生やカップル

ポジショニング

サードプレイス(第3の場所)のコンセプトを掲げ「快適な居場所を提供するカフェ」としてのポジションを確立

高級感や居心地の良さを求める顧客のニーズを満たしたことで、コーヒーチェーンとして高い支持を集めることに成功しました。

メルカリ

メルカリのSTP分析は以下のとおりです。

STP分析の各ステップ

概要

セグメンテーション

フリーマーケット市場でセグメントを細分化

ターゲティング

10~30代の女性をメインターゲットに選定

ポジショニング

「アプリひとつで簡単にできるプラットフォーム」のポジションを確立

メルカリは「フリマ=めんどう」という従来のイメージを覆すことに成功しました。

STP分析で失敗しないための注意点

STP分析をおこなう際の注意点を解説します。

  • 分析だけで終わりにしない
  • 分析の順番にこだわりすぎない
  • ターゲット顧客の目線を忘れない

STP分析で失敗しないためにも、注意点を押さえておきましょう。

分析だけで終わりにしない

STP分析をしただけでは、高い効果は期待できません。

マーケティングで成果を出すためにも、次の施策を展開する必要があります。

例えば「4P分析」があります。

4P分析とは、商品やサービスを開発する際に検討するべき4つの要素の頭文字をとったフレームワークです。

  • 商品(Product)
  • 価格(Price)
  • 流通(Place)
  • プロモーション(Promotion)

4P分析を実施すれば、最適なマーケティング戦略を立てるのに役立ちます。

分析の順番にこだわりすぎない

分析の順番にこだわりすぎる必要はなく、状況に応じて柔軟に変更する場合もあります。

例えば、すでにターゲット顧客が決まっている場合は、セグメンテーションやターゲティングを飛ばし、ポジショニングに重点を置くケースもあります。

STP分析の目的は、マーケティング戦略を最適化し、競合他社との競争で優位に立つことです。

目的を達成できるなら、分析の順番にこだわる必要はありません。

ターゲット顧客の目線を忘れない

ターゲット顧客の目線を忘れないことが大切です。

企業側が自社商品やサービスにどれだけ自信があっても、ターゲット顧客にとって魅力的であるとは限らないからです。

顧客のニーズや価値観などを深く理解し、それに合わせてSTP分析をおこないましょう。

【ターゲット顧客の目線に立つ際のポイント】

  • 顧客のニーズや悩みを調査する
  • 顧客の日常生活や行動パターンを把握する
  • 顧客の価値観を把握する

STP分析で役に立つフレームワーク

最後に、STP分析で役に立つフレームワークを紹介します。

SWOT分析

SWOT分析とは、企業の内部環境と外部環境を分析するためのフレームワークを指します。

  • 強み(Strengths)
  • 弱み(Weaknesses)
  • 機会(Opportunities)
  • 脅威(Threats)

SWOT分析をおこなうことで、自社の強みや弱みなどを把握し、マーケティング施策を立てるのに役立ちます。

STP分析においては、セグメンテーションとターゲティングの段階で活用すると効果的です。

3C分析

3C分析とは、自社の競争力を把握するために用いるフレームワークです。

  • 顧客(Customer)
  • 競合(Competitor)
  • 自社(Company)

市場環境や競合他社を把握し、自社の競争優位点を構築するために利用されます。

STP分析にあてはめると、顧客の分析ではニーズや価値観の理解に努めます。

競合の分析では、競合他社の強みや弱み、ポジショニングなどを分析し、差別化できる点を探すことが重要です。

自社の分析では、SWOT分析と同様に、自社の強みや弱みを把握します。

顧客のニーズに応え、競合との差別化を成功させるためにも、3C分析を試してみてください。

まとめ

STP分析は、自社商品やサービスを届けたいターゲット顧客を明確にし、競合他社との差別化を図るのに役立つフレームワークです。

本記事の内容を参考にして、STP分析を実施してみてください。