オウンドメディアマーケティングとは
オウンドメディアマーケティングとは、企業が所有するメディアを用いたマーケティング手法を指します。オウンドメディアはコミュニケーションツールとして機能し、適切な運用によりさまざまな目的を達成可能です。
例えば、自社メディアを運用して有益な情報を提供し、信頼関係を構築できるメリットがあります。
しかし、オウンドメディアを運用するには、時間・費用・人材などが必要です。十分なコンテンツを用意し、検索結果ページで上位表示するための対策も欠かせません。
一朝一夕で成功するのは容易ではないため、十分に検討したうえでオウンドメディアマーケティングを導入するか決めると良いでしょう。
オウンドメディアを運用する目的
オウンドメディアを運用する主な目的は、ユーザーに有益な情報を提供し、商品やサービスの成約につなげることです。有益な情報を提供することでユーザーは企業への信頼を高め、ファン化につながります。
また、専門知識をユーザーに提供することで、業界内で差別化を図ることも可能です。
オウンドメディアを効果的に運用すれば、ユーザーに感謝されつつ売上も上がるという、企業にとって理想的な展開を目指せます。
オウンドメディアの種類
オウンドメディアは以下のように、さまざまな種類があります。
- Webサイト
- ブログ
- ポッドキャスト
- 動画コンテンツ
- モバイルアプリ
上記のメディアを活用することで、企業は幅広いコンテンツをユーザーに提供し、さまざまなユーザー層にアプローチできます。
オウンドメディアとホームページの違い
オウンドメディアとホームページは似ているものの、目的が異なります。ホームページとは、ブラウザを開いて最初に表示されるページを指します。
企業の概要や、商品・サービスの情報を紹介するのが主な目的です。
一方のオウンドメディアは、専門的な情報に焦点を当て、ユーザーに有益な価値を提供するのが目的です。
自社で所有している点は同じですが、目的が異なります。
オウンドメディアとホームページの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
オウンドメディアとホームページの違いとは?運営方法や事例も解説!|株式会社Hub Works
オウンドメディアとSNSの違い
オウンドメディアとSNSを混同する方もいるかもしれませんが、意味が異なります。
SNSはショートメッセージや画像を共有することがメインのサービスで、コミュニケーションを重視します。オウンドメディアはコミュニケーションを図るというより、有益な情報の提供がメインです。
情報発信している点では同じですが、意味やアプローチが異なります。
トリプルメディアとは|情報発信して集客するメディア
オウンドメディアマーケティングを深く理解するために、トリプルメディアについて解説します。
トリプルメディアとは、メディア戦略を考える際に利用するマーケティングチャネルを3つに分類したフレームワークです。
トリプルメディアの種類は以下のとおり。
- オウンドメディア
- ペイドメディア
- アーンドメディア
オウンドメディアはトリプルメディアの一種であり、ペイドメディアやアーンドメディアと組み合わせることがマーケティングを成功させるために重要です。
1つずつ解説していきます。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、企業が所有しているメディアを指します。
ブログ形式のWebサイトだけでなく、企業サイトや採用サイトなどもオウンドメディアに該当します。ただし、多くの人に認知されているように、ブログ形式のWebサイトを指していることが大半です。
ユーザーの疑問や悩みを解決する有益な情報を発信することで、見込み客とコミュニケーションをとり、ユーザーニーズの育成や企業ブランディングなどに活用できます。
ペイドメディア
ペイドメディアとは、広告費を支払って運用するメディアで、リスティング広告やディスプレイ広告などが該当します。
認知や集客に強みがあり、新規顧客にアプローチする際に効果的です。
広告費を支払えば、コンテンツをすぐに目立つ場所に掲載できるメリットがあります。ただし、オウンドメディアのように資産にはならず、広告費用を支払い続ける必要があるのは難点です。
アーンドメディア
アーンドメディアとは、X(旧Twitter)やInstagramなどのメディアを指します。アーンドメディアは、earned(獲得する)+メディアという意味で、ユーザーの指示や信頼を獲得することを意味しています。
SNSの特徴を活かした拡散力の高さが強みで、情報の信ぴょう性も高いメリットがあります。ただし、企業にとってネガティブな情報が拡散しやすいデメリットもあるため、注意が必要です。
以下の表にトリプルメディアをまとめたので、参考にしてみてください。
オウンドメディア | ペイドメディア | アーンドメディア | |
概要 | 企業が所有しているメディア | 費用を払って利用するメディア | XやInstagramなどのメディア |
例 | ・ブログサイト | ・リスティング広告 | ・SNS |
目的 | 見込み顧客との信頼関係の構築 | 新規顧客の獲得 | ユーザーとのコミュニケーションによる信頼の獲得 |
メリット | ・広告費を削減できる | ・効果が出るのが早い | ・信ぴょう性が高い |
デメリット | ・運用するノウハウが必要 | ・費用が高い | ・ネガティブな拡散が発生するリスクがある |
オウンドメディアマーケティングを始める5つのメリット
オウンドメディアマーケティングを始める5つのメリットを解説します。
- 広告費を削減できる
- 長期的に集客し続けてくれる資産となる
- 見込み客からの信頼を獲得できる
- SNSやメールマガジンなどの施策と連携できる
- ブランディングにつながる
オウンドメディアマーケティングを始めるか迷っている方は、参考にしてみてください。
1.広告費を削減できる
オウンドメディアマーケティングを始めると、広告費を削減できるメリットがあります。
オウンドメディアに公開されているコンテンツが自然検索で上位表示されれば、何度ユーザーが訪れても広告費は発生しません。
コンテンツの制作費はかかるものの、ペイドメディアとは異なりクリックされても費用が発生しないのです。そのため、ユーザーにコンテンツを読まれるほど費用対効果が良くなります。
2.長期的に集客し続けてくれる資産となる
コンテンツは一度作ってしまうと、自社の資産となります。
集客に利用してもホワイトペーパーに利用しても、自社の資産として活用できます。
ペイドメディアのように、費用をかけている間しか効果が現れないこともありません。
3.見込み客からの信頼を獲得できる
オウンドメディアマーケティングは、見込み客からの信頼の獲得を狙えます。オウンドメディアでユーザーの疑問や悩みを解決できるコンテンツを発信することで、信頼関係を構築。
信頼関係を構築できれば、自社商品やサービスの契約につなげやすくなります。
オウンドメディアのアクセスの大半は、検索エンジンからです。ユーザーは疑問や悩みを解決するためにキーワードを検索窓に入力し、コンテンツを探すという流れです。
ユーザーが求める情報を発信するからこそ、信頼関係を獲得できます。
信頼関係を構築するためにも、ユーザーの悩みや疑問を解決できるコンテンツを発信しましょう。
4.SNSやメールマガジンなどの施策と連携できる
オウンドメディアマーケティングは、SNSやメールマガジンなどの施策と連携できます。
検索数の少ないキーワードで幅広く集めた見込み客に向けて、SNSやメールマガジンなどを活用して段階的にコンテンツを配信します。自社商品に興味のあるユーザーを育成することで、購買までつなげやすくなるのです。
例えば、資料をダウンロードする際にメールアドレスの入力を必須にすれば、メールマガジンを送信するきっかけを作れます。オウンドメディアで生み出したきっかけを活かせば、新規顧客の獲得につなげやすくなります。
5.ブランディングにつながる
オウンドメディアマーケティングを始めると、ブランディングにつながるメリットがあります。オウンドメディアに専門性の高い記事を公開していくことで、読者の安心感を生むことができるからです。
また、自社の考え方やポリシーなどを発信していくことで、企業のブランドイメージを確立することも可能です。
ブランディングに成功すると、以下の効果が期待できます。
- 認知度の向上
- 顧客との信頼関係の構築
- 企業価値の向上
- 競合他社との差別化
- 自社が求める人材の獲得
ブランディングの効果を得たい方に、オウンドメディアマーケティングはおすすめです。
オウンドメディアマーケティングを始める3つのデメリット
オウンドメディアマーケティングは多くのメリットがあるものの、以下のデメリットもあります。
- 制作や運用などのノウハウが必要
- 外注すると費用がかかる
- 成果が出るまでに時間がかかる
メリットだけでなく、デメリットも考慮したうえでオウンドメディアマーケティングを始めるか検討すると良いでしょう。
1つずつ解説していきます。
1.制作や運用などのノウハウが必要
オウンドメディアマーケティングを始めるには、以下のノウハウが必要です。
- Webサイトの企画・制作
- コンテンツの企画
- ライティング
- リライト
- 図解の作成
- Webサイトの効果測定
- Webサイトの改善 など
上記のように多くのノウハウが求められるため、根気強く運用担当に経験を積ませ、育てるコストが発生します。
結果を出したときのリターンは大きいですが、出すまでに時間がかかるのはデメリットです。
2.外注すると費用がかかる
ノウハウがなければ外注するのも1つの手ですが、外注すると費用がかかります。
外注してすぐに効果が出るなら良いでしょう。しかし、オウンドメディアの運用はプロでも効果を出すまでに時間がかかります。
費用をかけているのになかなか効果が出ないと、経営者から「いつになったら効果が出るの?」と問い詰められるケースも。
自社で運用するよりもプロに任せたほうが安心な面もありますが、費用がかかってしまうのはデメリットです。外注費用の相場はのちほど詳しく解説するので、このまま読み進めてください。
3.成果が出るまでに時間がかかる
リスティング広告などのペイドメディアは、審査が通った瞬間からすぐにコンテンツがユーザーの目に触れます。一方、オウンドメディアはコンテンツがユーザーの目に触れるまでに時間がかかります。
また、オウンドメディアが一定のアクセスを得るためにはある程度のコンテンツ本数が必要となるため、初めのうちはコンテンツを量産することが重要です。
このように、オウンドメディアは成果が出るまでに時間がかかるため、運用が安定軌道に乗るまでは根気が必要です。
効果が出たときのリターンは大きいため、根気強くオウンドメディアを運用しましょう。
オウンドメディアマーケティングの成功事例3選
オウンドメディアマーケティングの成功事例3選を紹介します。
- バズ部
- サイボウズ式
- mercan
1.バズ部
「バズ部」は、コンテンツマーケティングのノウハウを提供しているオウンドメディアです。
コンテンツマーケティングの分野でトップクラスの知名度があり、バズ部のノウハウを参考にして、多くの企業がコンテンツマーケティングの分野で成功しています。
また、良質なコンテンツを通じてユーザーとの信頼関係を構築し、多くのシェアを獲得しています。コンテンツマーケティングを実施する際にバズ部のノウハウは大いに参考になると思うので、興味のある方はコンテンツを読んでみてください。
2.サイボウズ式
「サイボウズ式」は、ビジネスに関する情報を提供するオウンドメディアです。
働き方や生き方、会社・組織に関するコンテンツなどを提供し、ビジネスパーソンから高い評価を受け、ユーザーとのつながりを実現しています。また、マンガ形式のコンテンツを提供しており、他社にはないユニークさも魅力です。
独自性のあるオウンドメディアを運用したい方は、サイボウズ式を参考にすると良いでしょう。
3.mercan
「mercan」は、大手フリマアプリであるメルカリが運用するオウンドメディアです。
メルカリの社員の働き方や、社風に関する情報をメインに発信しています。メルカリで働きたい人からすると、大いに参考になるオウンドメディアでしょう。
社内情報を発信するオウンドメディアを運用したい方は、参考にしてみてください。
オウンドメディア制作の費用相場
ホームページ制作のマッチングサービスを提供している「Web幹事」が集計した自社データによると、費用相場の平均は約156万円でした。
発注金額は51~100万円の価格帯が31%ともっとも多く、101~150万円の価格帯も含めると半数を占めます。
~50万円以下は13%と、割合としては低いです。そのため、オウンドメディア制作を外注する場合は、100万円程度の費用はかかると想定しておくと良いでしょう。
オウンドメディアマーケティング運用7つのポイント
オウンドメディアマーケティングを成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- コンセプトを明確にする
- 運用体制を決める
- キーワードを軸にコンテンツを作成する
- コンテンツの質を最優先にする
- 月に4~10記事ほど定期的にアップする
- Web広告やSNSでオウンドメディアに集客する
- 定期的にコンテンツを改善する
上記のポイントを押さえておくことで、オウンドメディアマーケティングで成功する可能性がアップします。
1つずつ見ていきましょう。
1.コンセプトを明確にする
オウンドメディアマーケティングで成功を収めるためには、コンセプトを明確にすることが重要です。
コンセプトを明確にすれば、ユーザーに刺さるコンテンツを作成しやすくなるからです。また、発信内容に一貫性が出るので、ユーザーからの信頼を構築することにも役立ちます。
オウンドメディアマーケティングを成功させるためにも、まずはコンセプトを明確にしましょう。
2.運用体制を決める
オウンドメディアの運用には、継続的なコンテンツ作成やメンテナンスが必要です。
継続的にコンテンツ作成やメンテナンスをおこなうためにも、運用体制を決めておきましょう。運用体制を決定し、担当者とスケジュールを明確にすることで、オウンドメディアの運用が容易になります。
反対に、運用体制を決めていないと、コンテンツの作成が途中で途絶える可能性もあります。
有益な情報を安定してユーザーに届けるためにも、運用体制を決めましょう。
3.キーワードを軸にコンテンツを作成する
オウンドメディアの運用では、キーワードを中心にコンテンツを作成することが基本です。オウンドメディアが検索でヒットするかは、キーワードに大きく左右されるからです。
ユーザーが検索した際にヒットするためにも、キーワード選定が欠かせません。キーワード選定をおこない、ターゲットが検索するであろうキーワードを特定します。
特定したキーワードをもとにコンテンツを作成することで、検索結果ページで上位表示されやすくなります。反対に、キーワードを軸にコンテンツを作成しないと、まったくアクセスのないメディアになりかねません。
キーワードを軸にコンテンツを作成することで、オウンドメディアの存在が認知されやすくなり、多くのユーザーにアクセスされる可能性が高まります。
キーワード選定のやり方は以下の記事で詳しく解説しているので、興味のある方は読んでみてください。
SEOキーワード選定のやり方!選定のコツやおすすめツール5選も紹介
4.コンテンツの質を最優先にする
オウンドメディアマーケティングにおいて最優先なのは、コンテンツの質です。
コンテンツの質が低いとユーザーの満足度を高めることにつながらないため、信頼関係の構築が難しいからです。量も重要ですが、闇雲に100記事作成するよりも、1つの超有益な記事を作成するほうが価値があります。
コンテンツの質を最優先に考え、ユーザーに価値のある情報を提供しましょう。
5.月に4~10記事ほど定期的にアップする
コンテンツの質を最優先にしつつ、月に4~10記事ほど定期的にアップしましょう。
定期的にコンテンツをアップすることで、ユーザーの興味を維持し続け、ファンを獲得できるチャンスが増えるからです。また、定期的に情報発信することで、ユーザーにとって信頼性のあるメディアとして認識されやすくなります。
そのため、少なくとも月に4~10記事ほどの頻度でコンテンツをアップすることをおすすめします。
Web広告やSNSでオウンドメディアに集客する
Web広告やSNSでオウンドメディアに集客する方法もおすすめです。Web広告の即効性やSNSの拡散力を活かせば、オウンドメディアの効果が早く出ます。
例えば、オウンドメディアの運用と同時にXの運用もおこない、コンテンツを発信したことをXのアカウントで伝えます。フォロワーがコンテンツの内容に興味をもてば、アクセスが増えるでしょう。
また、コンテンツを読んだフォロワーが拡散してくれる可能性もあります。拡散してもらえると、さらに多くのアクセスを見込めます。
オウンドメディアを早く育てるためにも、Web広告やSNSでの集客も検討してみてください。SNSでのマーケティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【2024年版】SNSマーケティングを始める手順を徹底解説!
定期的にコンテンツを改善する
オウンドメディアマーケティングを成功させるためにも、定期的にコンテンツを改善しましょう。
「コンテンツは投稿したら終わり」ではなく、定期的に改善することでより質が向上します。
例えば、オウンドメディアマーケティングの最新情報を知りたいユーザーに、10年前の情報を見せたらどう思うでしょうか。
がっかりして、最新の情報を探すでしょう。なるべく最新の情報をユーザーに届けるためにも、定期的なコンテンツの改善は欠かせません。
また、コンテンツを改善する際には、以下のデータも確認しておきたいところです。
- PV数
- 検索順位
- 滞在時間
- クリック率
- 読了率
- 回遊率
- ユーザーが検索したキーワード など
データーを基にコンテンツを改善することで、ユーザーにとってより有益なコンテンツにブラッシュアップできます。定期的にコンテンツを改善して、質を高めていきましょう。
まとめ:オウンドメディアでマーケティングを始めよう!
オウンドメディアマーケティングを成功させるために、以下のポイントを意識してみてください。
- コンセプトを明確にする
- 運用体制を決める
- キーワードを軸にコンテンツを作成する
- コンテンツの質を最優先にする
- 月に4~10記事ほど定期的にアップする
- Web広告やSNSでオウンドメディアに集客する
- 定期的にコンテンツを改善する
オウンドメディアマーケティングはWeb広告とは異なり、すぐに結果が出るものではありません。そのため、継続的に努力し続ける必要があります。
継続的に努力するのは大変ですが、成功したときのリターンはWeb広告よりも大きいと考えられます。
自社のコンテンツを継続的に強化し、ユーザーとの信頼関係を構築したい企業にオウンドメディアマーケティングはおすすめです。
本記事の内容を参考にして、オウンドメディアマーケティングを始めるか検討してみてください。