ペルソナ設定とは
ペルソナ設定とは、自社の商品やサービスを購入するであろうユーザーをイメージし、具体的な人物像や特徴を設定することを指します。
ペルソナ設定は、マーケティングの戦略立案において重要な役割を果たします。
具体的なユーザー像を明確にすることで、想定ユーザーのニーズや行動パターンを理解しやすくなるからです。
ユーザーのニーズや行動パターンを理解できれば、より効果的なマーケティング活動を展開し、商品やサービスの開発・改善に役立てられます。
ペルソナの主な項目
ペルソナの主な項目は以下のとおりです。
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- 住んでいる地域
- 職業
- 趣味
- 日常生活
- 夢
- 悩み など
ターゲット設定と違い、悩みや日常生活などの細かい情報まで設定してペルソナを作ります。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナと似た言葉に「ターゲット」があります。
ターゲットとは、ざっくりしたユーザー像を指します。例えば「副業を始めたい30代の男性」はターゲットです。
一方のペルソナは、ターゲットをさらに細かく絞り込んだユーザー像を指します。
ペルソナを設定したつもりでも、実際はターゲット設定になっているケースも多いです。
先ほど紹介した項目を参考にして、細かくターゲットを絞り込んでみてください。
ペルソナを設定する3つのメリット
ペルソナを設定するメリットについて解説します。
- 無駄な広告費をかけずに済む
- 設定したペルソナ像をチームで共有できる
- ユーザーに満足してもらえる商品やサービスを提供できる
1つずつ見ていきましょう。
1.無駄な広告費をかけずに済む
1つ目のメリットは、無駄な広告費をかけずに済むことです。ペルソナ設定の過程でユーザーへの理解が深まり、マーケティングの精度が向上します。
例えば「どんなアプローチに反応するか」「いつ発信すればより興味を示すか」などの理解が深まることで、マーケティング施策で失敗しにくくなるのです。
効果的なマーケティング施策を打ち出せるため、効果の期待できないマーケティング施策に広告費や時間をかけずに済みます。
2.設定したペルソナ像をチームで共有できる
2つ目のメリットは、設定したペルソナ像をチームで共有できることです。
マーケティングを成功させるには、ターゲットではなくペルソナをチームで共有することが重要です。例えば「料理が趣味の30代男性」というターゲットを設定しても、範囲が広くて人によってイメージが異なるでしょう。
メンバーごとにイメージが違っていては、マーケティング活動や商品に反映すべき改善点も、意見が食い違う可能性があります。
ペルソナを設定すればチーム内で具体的なユーザー像を共有しやすくなり、意見の食い違いを防ぎやすくなります。
3.ユーザーに満足してもらえる商品やサービスを提供できる
3つ目のメリットは、ユーザーに満足してもらえる商品やサービスを提供できることです。ペルソナを設定すればユーザーのニーズを理解しやすくなるため、ニーズを満たせる商品やサービスを提供しやすくなります。
ターゲット設定ではアプローチするユーザーが幅広く設定されているため、ユーザーに刺さる商品やサービスを提供しづらいデメリットがあります。
一方、ペルソナ設定であれば個人の行動範囲や日常的な関心事、解決したい悩みなどを分析する過程で、商品やサービスに反映すべき要素を明確にすることが可能です。
ペルソナの設定方法【テンプレート付き】
ペルソナの設定方法を解説していきます。
- ユーザーの情報を集める
- 集めた情報からペルソナを設定する
- 設定したペルソナを共有する
手順も少なくやること自体も簡単なので、この章を参考にしてペルソナを設定してみてください。
また、ペルソナを設定するにあたって、弊社で使用しているテンプレートを用意しました。こちらからコピーできるので、お好きなようにアレンジしてご利用ください。
手順1:ユーザーの情報を集める
まずはユーザー像を作るために、必要な情報を集めます。
「うちのWebサイトを利用するユーザーは、こういう人なはず」という主観的な解釈は失敗につながるため、注意が必要です。
ユーザーの情報を集めるには、以下の方法があります。
- お客様へのインタビューやアンケート
- 営業担当者へのインタビュー
- 社内データの分析
- 行政機関が公表しているデータ
- 検索エンジンやSNSでの反応調査
- ペルソナを設定できるWebツールの利用
- 「Yahoo!知恵袋」「教えて!goo」などのQ&Aサイトの利用 など
上記のデータを活用することで、具体的なユーザー像を作れます。
手順2:集めた情報をもとにペルソナを設定する
情報を集め終わったら、集めた情報を基にペルソナを設定しましょう。ポイントは、共通点を抽出することです。
共通点を抽出するには、以下の要素から考えます。
- 性格で共通する特性はあるか?
- 共通する悩みや不満はあるか?
- 好きなことや趣味で共通点はあるか?
- 将来の夢や目標は何か?
- どんな日常生活を送っているか? など
共通点を探すうえでデータが足りないようであれば、再度情報を集めましょう。
手順3:設定したペルソナを共有する
ペルソナ設定に間違いがないか確認するために、営業担当者や接客スタッフと共有します。
リアルなユーザー像を設定できたかを確認しましょう。ペルソナ設定は主観的に決めてしまいがちなので、客観的な視点を取り入れることが大切です。
共有してペルソナ設定に間違いがないようであれば、ペルソナの完成です。
ペルソナ設定の具体例
手順の紹介だけではわかりづらいと思うので、具体例も紹介します。
ペルソナを設定する際の参考にしてみてください。
- 性別:男性
- 年齢:25~29歳
- 地域:東京
- 家族構成:3人暮らし
- 学歴:大卒
- 職種:中小企業のWeb担当者
- 年収:400~500万円
- 知識や経験:Web担当歴1年以内。基本的なマーケティング知識はあるが、実務経験が少ない
- 社会欲求(人から良く見られたい欲求):優秀なマーケターとして認められたい
- 自己欲求(いつかこうなりたいという希望):マーケティングのスペシャリストになりたい
- 顕在ニーズ(自覚しているニーズ):マーケターとしてのスキルを高めたい
- 潜在ニーズ(自覚していないニーズ):自信をもってマーケティング戦略を立案したい
- 悩み・不満(現状):予算が少ない、仕事の進め方がわからない
- 解決のためにやっていること:ネットで勉強、読書、雑誌の購読
- 解決できていない理由:独学をしているから、マインドに問題があるから
- 趣味:読書・旅行・SNSでの情報収集・飲食店巡り
- 性格:真面目、向上心が高い
- ライフスタイル:平日は仕事中心、休日は趣味や家族との時間を楽しむ
- 好きなこと(もの):新しい情報を学ぶこと
- 嫌いなこと(もの):非効率な作業、ムダな会議
- 商品を買うときに重視していること: コスパ、実用性
- 日々の生活で大事にしていること:勉強、健康管理
- やらないと決めていること: 根拠のない意思決定
- 物事を判断するときの判断基準:データや事実に基づいた判断
- 物事を判断するための情報源:Web記事、書籍、SNS、セミナー、上司からのアドバイス
- 仕事の価値観:成長、貢献
- 家族の価値観:助け合い、思いやり
リアルなペルソナを設定する5つのコツ
リアルなペルソナを設定するコツを解説します。
- 過去の自分や友人をペルソナにしてみる
- ペルソナの思考や言動をイメージできるまで作り込む
- 定期的に設定したペルソナを見直す
- 正確なデータに基づいてペルソナを設定する
- ツールを利用してペルソナを設定する
マーケティングに活かせるペルソナを設定するために、コツを押さえておきましょう。
1.過去の自分や友人をペルソナにしてみる
「項目を埋めても、ペルソナをうまくイメージできない…」という方は、過去の自分をペルソナにしてみる方法がおすすめです。会ったこともない人を想像するより、過去の自分をイメージするほうが簡単だからです。
例えば、自分が肌荒れで悩んだ過去がある場合、同じく肌荒れの悩みを抱えるユーザーの感情やニーズを想像しやすくなります。昔の自分に向けてアドバイスするイメージです。
自社商品やサービスに関連する悩みを経験していない場合は、友人をペルソナに設定する方法もあります。例えば、ダイエット食品を販売している会社の場合、体形で悩みを抱えている友人をペルソナに設定します。
友人のことはよく知っているので、ペルソナ設定しやすいです。
ペルソナをうまく設定できない方は、過去の自分や友人をペルソナにしてみてください。
2.ペルソナの思考や言動をイメージできるまで作り込む
リアルなペルソナを設定できたかを判断する基準として、思考や言動をイメージできるかが重要となります。イメージできない場合は、リアルなペルソナを設定できていません。
思考や言動とは、例えば以下が該当します。
- 「痩せたいけど、運動はめんどうだからしたくないな…」
- 「転職したいけど、かえって給料が下がらないか不安だな…」
思考や言動などをイメージすることで、ペルソナの悩みや不安を詳細に設定できます。リアルなペルソナをイメージできると、ユーザーに刺さるマーケティングを展開できるでしょう。
項目だけ埋めて終わりではなく、ペルソナの思考や言動をイメージできるまで作り込んでみてください。
3.定期的に設定したペルソナを見直す
ペルソナ設定は一度設定すれば終わりではなく、定期的に見直す必要があります。
人の価値観や悩み・市場の状況は時間が経てば変わっていくからです。
定期的に設定したペルソナを見直し、ユーザーに最適な情報を提供しましょう。
4.正確なデータに基づいてペルソナを設定する
正確なデータに基づいてペルソナを設定しましょう。集めたデータに誤りがあると、ペルソナ設定に失敗する可能性が高くなります。
インターネットから情報を集める場合は「厚生労働省」「総務省統計局」などの行政機関が発表する、信ぴょう性の高いデータを活用するのもおすすめです。
ユーザーの口コミ情報をインターネットから集める方法もありますが、投稿された内容の信ぴょう性に注意する必要があります。
なるべく行政機関などの信頼できるサイトからデータを集めると良いでしょう。
5.ツールを利用してペルソナを設定する
ツールを利用してペルソナを設定する方法もあります。
自分でペルソナを考えると時間がかかりますが、ツールは一瞬でペルソナを考えてくれるため便利です。
ただし、簡易的にペルソナを設定しているため、精度は高くありません。ツールが設定してくれたペルソナは参考程度にして、自分で精度を高めていくと良いでしょう。
おすすめのペルソナ作成ツールはのちほど紹介するので、このまま読み進めてください。
ペルソナを設定する際の注意点|失敗を防ぐ
ペルソナを設定する際の注意点を解説します。
- 主観でペルソナを設定しない
- ペルソナを設定しただけで終わりにしない
ペルソナの設定で失敗しないためにも、注意点を押さえておきましょう。
主観でペルソナを設定しない
ペルソナは主観ではなく、データを用いて客観的に設定することが大切です。
主観でペルソナを設定してしまうと現実のユーザーとのギャップが生じ、ニーズを満たせない商品やサービスを提供することになりかねません。
主観での判断を避けるために、顧客アンケートや営業との話し合いによる客観的なデータや事実を用いる必要があります。
ペルソナを設定しただけで終わりにしない
ペルソナを設定しただけで終わりにすると、マーケティング施策に活用できません。
マーケティングでペルソナを活かすためにも、活用方法を押さえておきましょう。次で、設定したペルソナの使い方を詳しく解説します。
設定したペルソナの効果的な使い方
設定したペルソナの使い方は以下のとおりです。
- マーケティング施策に活用する
- Webサイトのコンテンツ制作に活用する
- コンテンツのリライトに活用する
- LPO(ランディングページ最適化)に活用する
ペルソナの具体的な活用方法がわからない方は、参考にしてみてください。
マーケティング施策に活用する
ペルソナは以下のようなマーケティング施策に活用できます。
- リスティング広告の発信
- SNS広告の発信
- 広告媒体の選択 など
ペルソナを参考にして広告やコンテンツの配信先を絞り込むことで、自社のターゲットに情報が届きやすくなります。また、ペルソナの悩みや価値観に合わせてメッセージを調整することで、共感を得やすくなります。
このように、ペルソナはマーケティング施策に活用可能です。
Webサイトのコンテンツ制作に活用する
ペルソナはWebサイトのコンテンツ制作に活用可能です。
具体的には、ペルソナが抱える悩みを疑問などを解決できるコンテンツを制作することで、ユーザーに満足してもらえるコンテンツを発信できます。
ユーザーに満足してもらえると信頼されやすくなり、結果として自社商品やサービスが成約しやすくなるのです。
Webサイトの収益性を高めるためにも、ペルソナ設定は重要となります。また、ペルソナの性格や価値観に合わせたコンテンツを制作することで、離脱率の改善も期待できます。
離脱を減らすほどコンバージョンも増えやすくなるため、収益性の向上につながるでしょう。Webサイトの収益性を高めるためにも、Webサイトのコンテンツ制作にペルソナを活用してみてください。
コンテンツのリライトに活用する
コンテンツのリライト(文章の書き直し)にもペルソナを活用できます。
ペルソナが知りたい情報を追加したり、反対に不要な情報を削除したりすることで、ペルソナに最適化してコンテンツを発信できます。
「コンテンツを制作する際にペルソナを考えた」というケースもあると思いますが、定期的にペルソナを再設定すると良いでしょう。コンテンツを制作してから何年も経っていると、最適なペルソナも変わるからです。
例えば、情報収集の手段がSNSからAIに変わっているかもしれません。好きなお菓子を「健康に悪いから」という理由で、嫌いになっている可能性もあります。
このように、ユーザーの思考や価値観などは時間が経つと変わっていきます。ペルソナ設定を最適化するためにも、定期的にペルソナを見直し、コンテンツのリライトに活用すると良いでしょう。
LPO(ランディングページ最適化)に活用する
LPO(ランディングページ最適化)に活用するケースもあります。
ペルソナに合わせたLPを制作することで、コンバージョン率の向上が期待できるでしょう。具体的には、ペルソナの悩みや興味関心を反映した文章や画像に変更します。
また、ペルソナに合わせて行動を促す文章やCTAボタンなどを配置します。
LPは企業にとって売上に直結する重要なページです。企業の売上を伸ばすためにも、LPOにペルソナを活用してみてください。
おすすめのペルソナ作成ツール3選【無料】
最後に、おすすめのペルソナ作成ツールを紹介します。
- ぺるそな君
- Claude
- ペルソナ作成ツール
自分でうまくペルソナを作れない方は、ツールを利用してヒントを得ると良いでしょう。
1.ぺるそな君
1つ目に紹介するツールは「ぺるそな君」です。世代と性別を入力するだけで、ペルソナを一瞬で作成してくれます。
詳細なペルソナ設定はできませんが、参考になる項目もあると思います。ペルソナを作成した経験のない方は、ぺるそな君を利用してみてください。
2.Claude(クロード)
2つ目に紹介するツールは「Claude」です。Anthropic社が開発した対話型生成AIで、ペルソナ設定にも活用できます。
使い方は簡単で、入力欄にプロンプト(AIへの指示文)を入力するだけです。筆者が考えたプロンプトがあるので、参考にしてみてください。
【プロンプト】
あなたはマーケティングの専門家です。私は「〇〇」というキーワードで、SEO記事を制作しています。このキーワードのペルソナを、以下の項目を参考にして考えてください。
- 性別
- 年齢
- 地域
- 家族構成
- 学歴
- 職種
- 年収
- 知識や経験
- 読者の最終ゴール
- ありたい状態(理想)
- 悩み・不満(現状)
- 解決のためにやっていること
- 解決できていない理由
- 趣味
- 性格
- ライフスタイル
- 好きなこと(もの)
- 嫌いなこと(もの)
- 商品を買うときに重視していること
- 日々の生活で大事にしていること
- やらないと決めていること
- 物事を判断するときの判断基準
- 物事を判断するための情報源
- 仕事の価値観
- 家族の価値観
- 社会欲求(人から良く見られたい欲求)
- 自己欲求(いつかこうなりたいという希望)
- 顕在ニーズ
- 潜在ニーズ
※上記のプロンプトはコピペして自由にご利用ください。
プロンプトを入力して上向きの矢印をクリックすると、AIがペルソナを考えてくれます。以下の画像は、AIに考えてもらったペルソナです。
一瞬でペルソナを考えてくれるのは便利ですが、100%信用できるわけではありません。アンケートやインタビューなどで、ペルソナに間違いがないか確認すると良いでしょう。
AIの意見はあくまで参考にして、自分でリアルなペルソナを考えてみてください。
3.ペルソナ作成ツール(HubSpot)
3つ目に紹介するツールは、HubSpotが提供している「ペルソナ作成ツール」です。フォームに沿って名前や年齢、学歴や役職などを入力すると、ペルソナを作成できます。
ペルソナを作成するには、右にある「ペルソナ作成ツール」をクリックします。
あとはフォームを入力していけば、ペルソナを作成できます。
アイコン付きで複数のペルソナを作成して管理できるため、ペルソナを多く設定したいときに便利なツールです。
まとめ:ペルソナ設定をしてマーケティングに活かそう!
ペルソナ設定のやり方や、ペルソナ設定のコツなどを解説しました。
【ペルソナ設定の方法】
- ユーザーの情報を集める
- 集めた情報を基にペルソナを設定する
- 設定したペルソナを共有する
まずはユーザーの情報を集め、集めた情報を基にリアルなユーザー像を作ります。ペルソナ設定が終わったらチームで共有し、マーケティングに活用しましょう。
ペルソナ設定はターゲット設定と比べて手間がかかるため、めんどうに感じるかもしれません。
しかし、ペルソナ設定に取り組めば、無駄な広告費をかけずに済んだりユーザーに満足してもらえる商品やサービスなどを提供できるメリットがあります。
ペルソナ設定は、マーケティング施策の収益を大きく左右します。本記事の内容を参考にして、ペルソナ設定に取り組んでみてください。