SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは名前のとおり、SNSを利用したマーケティング手法を指します。
ユーザーとSNS上でコミュニケーションを行ってファンを獲得し、商品やサービスの購買につなげます。
SNSマーケティングの主な手法は以下のとおりです。
- SNSアカウント運用
- SNS広告配信
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング など
SNSマーケティングを導入することで、ユーザーによる口コミやレビューによってポジティブな共感を生み出し、売上増加につながるメリットがあります。
一方、ユーザーの期待を下回るとネガティブなイメージの拡散につながるリスクがあるため、担当者は高いリテラシーが求められます。
SNS市場が爆発的に伸びている
下のグラフを見てもわかるとおり、SNS市場は右肩あがりに伸びています。
出典:MarkeZine|ソーシャルメディアマーケティング市場規模、2023年に1兆円を突破すると予測
市場規模は今後も伸び続けると予測され、2023年には1兆円を超えると予想されています。
上記の背景もあり、多くの企業がSNSマーケティングに参入しているのです。
SNSマーケティングとWebマーケティングの違い
SNSマーケティングとWebマーケティングは似ているため、違いがわからない方も多いでしょう。
Webマーケティングとは、Web上でマーケティングを展開して、商品やサービスを売る仕組みを作ることです。代表的な手法として、SEO(検索エンジン最適化)やWeb広告などがあります。
一方のSNSマーケティングは、SNSを利用した仕組み作りです。LINEやInstagramなどのSNSを利用して、自社商品やサービスを売る仕組みを作ります。
違いをまとめると、以下のようになります。
- Webマーケティング:Web上でマーケティングを展開して、商品やサービスを売る仕組みを作る
- SNSマーケティング:SNSを利用して商品やサービスを売る仕組みを作る
手法や媒体などに違いがあります。
SNSをメインにしてマーケティングを展開したい方は、SNSマーケティングを始めると良いでしょう。
SNSマーケティングで主に採用されるSNSの種類
SNSマーケティングで主に採用されるSNSの種類は、以下のとおりです。
SNSの種類 | ユーザーの年齢層 | 国内月間利用者数 | 特徴 |
---|---|---|---|
LINE | 10~60代 | 9,300万人(2022年9月時点) | ・SNS利用者のうち86%が利用している |
10~20代 | 3,300万人(2019年6月時点) | ・動画や画像などの視覚的なコンテンツがメイン | |
X(旧Twitter) | 10~50代 | 4,500万人(2017年10月時点) | ・140字の短文投稿がメイン |
YouTube | 10~60代 | 18歳以上のユーザー数7,000万人(2022年5月時点) | ・全世代の利用率が高い |
TikTok | 10~20代 | - | ・15秒から1分ほどのショート動画がメイン |
30~50代のビジネスパーソン | 2,600万人(2019年7月時点) | ・実名登録制を採用 |
SNSは種類によって機能やユーザーの特徴が異なるため、自社の目的に合ったSNSを選択する必要があります。
SNSマーケティングを始める手順を解説する前に、主に採用される人気SNSの特徴を見ていきましょう。
【国内利用者数9,300万人】LINE
出典:LINE
運営会社 | LINE株式会社 |
料金 | ・無料プランあり |
国内月間利用者数 | 9,300万人 |
利用者の年齢層 | 10~60代 |
特徴 | ・SNS利用者のうち86%が利用している |
「LINE」は日本で最も利用ユーザー数が多いSNSで、国内月間利用者数は9,300万人を超えています(2022年9月時点)。
LINE公式アカウント運用によって、多くのターゲットユーザーへ情報発信やコミュニケーションを行えます。
【10~20代の女性に人気】Instagram
出典:Meta|Instagram
運営会社 | メタ・プラットフォームズ |
料金 | 無料 |
国内月間利用者数 | 3,300万人 |
利用者の年齢層 | 10~20代 |
特徴 | ・動画や画像などの視覚的なコンテンツがメイン |
「Instagram」は動画や画像などの視覚的なコンテンツがメインのSNSで、日本国内の月間利用ユーザー数は3,300万人を超えています(2019年6月時点)。
おしゃれな画像や動画でブランドの世界観を訴求するだけでなく、インフルエンサーを用いたマーケティング活動も活発です。
【拡散性の高さがウリ】X(旧Twitter)
出典:X
運営会社 | X Corp. |
料金 | ・無料プランあり |
国内月間利用者数 | 4,500万人 |
利用者の年齢層 | 10~50代 |
特徴 | ・140字の短文投稿がメイン |
「X」は140字の短文投稿(ツイート)が人気のSNSです。日本国内の月間利用ユーザー数は、4,500万人を超えています(2017年10月時点)。
Xの特徴である拡散性の高さを活かした広告配信やキャンペーンなどを展開できます。
【世界最大の動画配信プラットフォーム】YouTube
運営会社 | |
料金 | 全機能無料(有料版もあり) |
国内月間利用者数 | 18歳以上のユーザー数7,000万人 |
利用者の年齢層 | 10~60代 |
特徴 | ・全世代の利用率が高い |
「YouTube」はGoogleが提供している世界最大の動画配信プラットフォームです。
日本だけでも月間利用ユーザー数が7,000万人を超えています(2022年5月時点)。
全世代の利用率が高いため、幅広い年齢層からターゲットを選んでマーケティング施策を行えます。
【Z世代に大人気】TikTok
運営会社 | ByteDance |
料金 | 全機能無料(有料版もあり) |
国内月間利用者数 | - |
利用者の年齢層 | 10~20代 |
特徴 | ・15秒から1分ほどのショート動画がメイン |
「TikTok」は15秒から1分ほどのショート動画を配信するSNSで、メインターゲットは10代~20代のZ世代です。
動画作成や編集が手軽にできて、始めたばかりの初心者でも配信した動画がユーザーに認知されやすいのが特徴です。
【利用ユーザー数世界一のSNS】Facebook
出典:Meta
運営会社 | メタ・プラットフォームズ |
料金 | 全機能無料(有料版もあり) |
国内月間利用者数 | 2,600万人 |
利用者の年齢層 | 30~50代のビジネスパーソン |
特徴 | ・実名登録制を採用 |
「Facebook」は世界最大のSNSで、日本でも2,600万人の月間利用ユーザーがいます(2019年7月時点)。
10代の利用率が低く、30~50代のビジネスパーソンが多いです。
実名登録制である点が大きな特徴で、ターゲティング精度の高い広告配信を行えます。
SNSマーケティング5つの手法
SNSマーケティングの手法を解説します。
- SNSアカウント運用
- SNS広告
- SNSキャンペーン
- ソーシャルリスニング
- インフルエンサーマーケティング
1.SNSアカウント運用
SNSアカウント運用は、SNSマーケティングの手法のなかでも取り組みやすいため、多くの企業が採用しています。
メリットは何といっても、無料でSNSマーケティングを行えることです。有料プランもあるものの、基本的にはアカウントの開設から運用まで無料です。
XやInstagramなどでアカウントを開設し、情報発信やユーザーとの交流を行うことで、自社商品やサービスの認知度を高められます。
また、自社のWebサイトやECサイトなどにも誘導できるため、集客に活用することもできます。
2.SNS広告
SNSで広告を出す手法もあります。
InstagramやYouTubeなどのSNSを見ているユーザーに対し、画像や動画などの訴求力の高い広告を見せます。うまく訴求できると広告がクリックされ、自社商品やサービスを販売するチャンスにつながるのです。
SNS広告の特徴は、ほかのWeb広告よりも精度の高いターゲティングができること。
例えば、年齢や性別、仕事や趣味などの興味関心に合わせた広告を配信できるため、ユーザーに不快な印象を与えにくいです。
また、予算や配信期間を柔軟に設定できるため、簡単に広告の出稿から効果測定を実施できます。
3.SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、SNS上でユーザーが参加できるイベントを企画し、自社商品の認知度や収益性を向上させるための手法です。
例えば、以下の企画があります。
- 特定のハッシュタグをつけると参加できるキャンペーン
- 自社商品の写真を投稿すると抽選でプレゼントが当たるキャンペーン
- アンケートに回答すると抽選でプレゼントが当たるキャンペーン など
キャンペーンを実施することで、商品・サービスへの愛着を深めたり、投稿を見たほかのフォロワーが興味をもって商品・サービスを購入する効果が期待できます。
また、SNSキャンペーンが話題になるとバズる可能性もあります。
4.ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、SNS上のユーザーの声を収集・分析し、商品開発やサービス改善などに活用する手法です。
ユーザーの声を収集する場合はアンケートを活用する方法もありますが、率直な声を集めにくいデメリットがあります。一方のソーシャルリスニングは、率直なユーザーの声を集めるのに適しています。
また、ユーザーの声を収集・分析することで、広告やキャンペーンなどの手法に活用できる点もメリットです。
5.インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力のあるアカウントをマーケティングに活用する手法です。
具体的なやり方は以下のとおりです。
- インフルエンサーとコラボ商品を開発する
- ユーチューバーに自社商品を使用している動画を配信してもらう など
インフルエンサーは数十万、数百万のフォロワーやファンを抱えているため、多くの一般消費者にアプローチできます。
SNSマーケティング4つのメリット
SNSマーケティングのメリットを解説します。
- 低予算で広告を運用できる
- 自社商品やサービスの認知度を高められる
- ブランド価値の向上につながる
- 顧客との信頼関係を構築できる
SNSマーケティングを始めるか迷っている方は、参考にしてみてください。
1.低予算で広告を運用できる
SNSマーケティングは低予算で広告を運用できます。
SNS広告は、テレビCMや雑誌などのマス広告に比べて低コストだからです。
また、アカウント運用やコンテンツ制作も基本的に無料のため、低コストで運用を行えるメリットがあります。
2.自社商品やサービスの認知度を高められる
SNSマーケティングを展開することで、自社商品やサービスの認知度を高められます。
例えば、Instagramのインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらうことで、多くのユーザーに認知してもらうことが可能です。
Xは拡散性の高さを活かすことで、数日のうちに大幅な認知度アップを実現できる可能性もあります。
3.ブランド価値の向上につながる
SNSマーケティングに成功すると、ブランド価値の向上につながるメリットがあります。
例えば、SNSで商品やサービスの魅力を紹介して多くの共感や信頼を得ることで、ブランド価値の向上が期待できます。
ユーザーから共感や信頼を得れば、より商品やサービスを販売する機会が増えるでしょう。
4.顧客との信頼関係を構築できる
SNSを効果的に活用すれば、顧客との信頼関係を構築できます。
ユーザーへの有益な情報発信や積極的な交流によって、信頼関係は強固になっていきます。
その結果、発信した情報がユーザーによって拡散されやすくなり、より多くのユーザーから認知されるチャンスも増えるのです。
SNSマーケティング2つのデメリット
SNSマーケティングは多くのメリットがある一方で、以下のデメリットもあります。
- SNSを運用するのに多くの時間がかかる
- 炎上する可能性がある
デメリットも理解したうえで、SNSマーケティングを導入するか検討すると良いでしょう。
1つずつ解説していきます。
1.SNSを運用するのに多くの時間がかかる
SNSマーケティングは、SNSの運用に多くの時間がかかります。
具体的には、以下の作業が必要です。
- コンテンツの作成・投稿
- ユーザーとのコミュニケーション
- データ分析
- 競合分析
- キャンペーンの企画・実施
- 広告の運用 など
SNSマーケティングを成功させるには、多くの作業をこなさなければなりません。
また、SNSマーケティングは短期間で簡単に成果が出るほど甘くはないので、長期的な視点でSNSマーケティングを行う必要があります。
2.炎上する可能性がある
SNSは発信した情報がすぐに拡散されるため、批判を受けた場合には炎上する可能性があります。
そのため、モラルを欠いた発言や過激な表現は避けるべきです。
企業はSNS担当者への教育、投稿前のチェック体制の確立など、リスクに備える対策が必要です。
SNSマーケティングの成功事例3選
SNSマーケティングの成功事例を解説します。
- Xの成功事例:ユニクロ
- Instagramの成功事例:Check in
- YouTubeの成功事例:ルイ・ヴィトン
成功事例を参考にして、SNSマーケティングを始めるか検討すると良いでしょう。
1つずつ解説します。
1.Xの成功事例:ユニクロ
出典:ユニクロ
1つ目に紹介する事例は「ユニクロ」です。
ユニクロは以下の投稿のように、Xで商品モニターを募集しています。
いよいよ今回がラスト!
— ユニクロ (@UNIQLO_JP) September 29, 2024
 ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
商品モニター参加してみませんか?
ユニクロアプリにログイン⇒購入した商品のレビュー📝を投稿すると、商品モニター募集のお知らせを受け取れます📲✨… pic.twitter.com/2IQ3IUonPB
抽選で商品をプレゼントすることで、購入された商品のレビューを獲得することに成功しています。
プレゼントした商品を気に入ってもらえると、さらに高評価のレビューや口コミなどの獲得が期待できます。
この手法はSNSキャンペーンです。キャンペーンを活用してブランド価値を高めることに成功した事例でした。
2.Instagramの成功事例:Check in(チェックイン)
出典:Check in
2つ目に紹介する事例は、ホテルや旅館を紹介するメディアを運営している「Check in」です。
Check inの投稿は、おしゃれできれいな写真と大きな文字にこだわったデザインが特徴です。
出典:Check in
「福岡」や「道後温泉」などの強調したい言葉は大きな文字を使用しており、目を引く投稿になっています。
Instagramは、画像や動画などがメインのSNSです。Instagramの特徴を活用し、ホテルや旅館に興味をもつユーザーから支持を集めることに成功しました。
YouTubeの成功事例:ルイ・ヴィトン
出典:ルイ・ヴィトン
3つ目に紹介する事例は「ルイ・ヴィトン」です。
ルイ・ヴィトンのYouTubeチャンネルは、職人がバッグや靴などを作っている様子を紹介しています。
関係者しか入れない制作の現場や職人の技術などを無料で見られるため、ルイ・ヴィトンのファンから支持を集めています。
結果として、ブランディングやファンの獲得に成功しているのです。自社の内部情報を発信したことで成功した事例でした。
SNSマーケティングの流れ
最後に、SNSマーケティングの流れを解説します。
- SNSマーケティングの目的を決める
- SNSマーケティングの手法を決める
- ペルソナ設定をする
- 運用するSNSを決める
- 運用を開始する
SNSマーケティングを始めたい方は、参考にしてみてください。
1.SNSマーケティングの目的を決める
SNSマーケティングを始める前に、目的を決めます。企業の目的によって、利用するSNSや運用手法が異なるからです。
例えば、商品の売上アップやブランドの認知度向上などが考えられます。目的を明確にすることで、目的に合った戦略を立てられます。
そのため、最初に「何のためにSNSマーケティングを始めるのか」を考えましょう。
2.SNSマーケティングの手法を決める
目的を決めたあとは、SNSマーケティングの手法を決めます。
例えば、10~20代の女性に新商品の認知獲得を目指す場合、Instagramを使ってインフルエンサーマーケティングを展開する手法が考えられます。
ファンの獲得を目指す場合はXを使ってアカウントを運用し、ユーザーと交流を図ると良いでしょう。
自社の目的を果たすのに最適な手法を選んでみてください。
3.ペルソナ設定をする
ペルソナとは、自社商品を利用している具体的なユーザー像を指します。
年齢や性別、職業や年収などを設定することで、具体的なユーザー像を把握できます。
ペルソナ設定は、SNSマーケティングの成功において重要な役割を果たします。具体的なユーザー像を明確にすることで、想定ユーザーのニーズや行動パターンなどを把握しやすくなるからです。
ニーズや行動パターンを把握できると、より効果的なSNSマーケティングを展開し、自社商品の開発・改善に役立てられます。
SNSマーケティングを成功させるためにも、ペルソナを設定しましょう。
ペルソナ設定のやり方は以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:ペルソナ設定の方法を初心者向けにわかりやすく解説【テンプレート付き】
4.運用するSNSを決める
ペルソナ設定の次は、自社に適したSNSを選びます。
例えば、若年層をペルソナとして設定した場合は「Instagram」「TikTok」などが適切です。30~50代のビジネスパーソンなら、「Facebook」「X」などが適しているでしょう。
自社が設定したペルソナに合わせて、最適なSNSを選んでみてください。
5.運用を開始する
運用するSNSが決まったら、いよいよ運用を開始します。
SNSマーケティングは短期間で成果を出すのは難しいため、地道に継続して運用する必要があります。
まとめ:準備を万全にしてSNSマーケティングを始めよう!
SNSマーケティングとWebマーケティングの違い、SNSの種類や手法などを解説しました。
近年SNSが急速に普及している影響もあり、企業でも続々とSNSマーケティングに参入しています。メリットも多いSNSマーケティングですがデメリットもあるため、参入するかは慎重に決めると良いでしょう。
無計画にSNSマーケティングを始めてもうまくいかないため、目的やペルソナなどを明確にしてから始めましょう。