Webマーケティング戦略とは
Webマーケティング戦略とは、インターネット上で商品やサービスを宣伝・販売するための戦略です。Webマーケティングを行う企業は、自社商品やサービスをユーザーに宣伝し、売上を拡大する必要があります。
インターネットを活用することで「商品やサービスのコンバージョン率(成約率)の向上」「ブランドの認知度向上」などを目指します。
具体的には、以下のような手法を用いてWebマーケティング戦略を展開するのが一般的です。
- オウンドメディアの運営
- SEO(検索エンジン最適化)
- SNS運用
- インターネット広告の運用
- 動画マーケティング
上記の手法のなかで、どれが自社にとって最適かを判断し選択するのも、Webマーケティング戦略に含まれます。
次で、Webマーケティング戦略を立てる際に便利なフレームワークを紹介します。
Webマーケティング戦略を立てる際に便利な9つのフレームワーク
Webマーケティング戦略を立てる際に便利なフレームワークは、以下のとおりです。
- 3C分析
- 4C分析
- 4P分析
- SWOT分析
- STP分析
- PDCA
- PEST分析
- バリュー・チェーン
- 5フォース分析
フレームワークを活用することで、戦略立案に要する時間を短縮できます。
1つずつ見ていきましょう。
3C分析
3C分析は、自社の競争力を評価するために使用されるフレームワークで、以下の要素で構成されます。
- 顧客(Customer)
- 競合(Competitor)
- 自社(Company)

市場環境や競合状況を把握し、自社の競争優位点を構築するために重要な手法です。
顧客のニーズに応えるための戦略や、競合との差別化を図るための戦略を検討する際に活用されます。
4C分析
4C分析は、企業の商品やサービスから顧客が得られるメリットのうち、最も重要な4つの要素の頭文字を取ったフレームワークです。
- 顧客価値(Customer value)
- 顧客コスト(Customer Cost)
- 顧客の利便性(Convenience)
- 顧客とのコミュニケーション(Communication)

上記の要素を考慮したうえで、顧客が魅力を感じるメリットに焦点を当てることが大切です。
4P分析
4P分析は、商品やサービスを開発する際に検討するべき、下記4つの要素の頭文字を取ったフレームワークです。
- 商品(Product)
- 価格(Price)
- 流通(Place)
- プロモーション(Promotion)

上記の要素を適切に調整することで、市場における競争力を高め、顧客に価値を提供する戦略を立てられます。
SWOT分析
SWOT分析は、企業の内部環境と外部環境を分析するためのフレームワークです。
- 強み(Strengths)
- 弱み(Weaknesses)
- 機会(Opportunities)
- 脅威(Threats)

SWOT分析を行うことで、企業の強み・弱みや現状を把握し、Webマーケティング戦略を立てるのに役立ちます。
企業の強みを最大限に活かしつつ弱みを改善し、機会を求め、脅威に対処するための対策を考えることが重要です。
STP分析
STP分析は以下3つの要素の頭文字を取った分析方法で、マーケティングにおける代表的なフレームワークの1つです。
- セグメンテーション(Segmentation)
- ターゲティング(Targeting)
- ポジショニング(Positioning)

1つ目のセグメンテーションで、市場を特定の顧客グループに細分化します。
次のターゲティングで、作ったセグメントのなかから魅力的な市場を選択。
最後のポジショニングで、選んだ市場に対して他社との差別化を図り、競争において優位性を確立します。
STP分析を行うことで顧客をより深く理解できるため、競合他社との差別化を図るマーケティング戦略を立てる際に役立ちます。
>関連記事:STP分析のやり方5つの手順!事例や注意点も交えて解説
PDCA
PDCAは、問題解決や課題の改善を行うためのフレームワークです。
- 計画(Plan)
- 実行(Do)
- 評価(Cheak)
- 改善(Act)

「計画→実行→評価→改善」のサイクルを繰り返し、改善を継続的に進めます。
問題解決・品質の改善・プロジェクト管理など、さまざまな分野で活用されています。
Webマーケティング戦略を見直す際に活用することで、より効果的な戦略を立てるのに役立つでしょう。
>関連記事:PDCAサイクルを早く回す7つのコツ!基本的な回し方や具体例も解説
PEST分析
PEST分析は、企業が外部環境の要因を評価するためのフレームワークです。
- 政治(Politics)
- 経済(Economy)
- 社会(Society)
- 技術(Technology)

PEST分析を行うことで、上記の外部環境の影響を把握できます。
政治的リスク・経済の変動・社会の変化・技術の進化などを考慮したうえで、Webマーケティング戦略を立てられるのです。
またPEST分析は、市場調査やビジネスプランの策定にも活用されています。
バリュー・チェーン
バリューチェーン(価値連鎖)は、商品やサービスの製造・販売過程で付加価値が生まれる一連のプロセスです。
簡単にいうと、商品やサービスを作るために必要な手順や工程を指します。競合と比較して強みや弱みを分析し、戦略の改善策を立てます。
バリューチェーンの最終目標は、効率的に商品やサービスを提供することです。
各工程での効率や品質管理の向上に取り組むことで、コストの削減や競争力の強化を目指します。
また、バリューチェーンによって付加価値を高めることで、顧客により良い商品やサービスを提供し、他社との競争において優位性を獲得することも可能です。
5フォース分析
5フォース分析は、5つの競争要因から事業の状況を把握するためのフレームワークで、以下の要素で構成されています。
- 業界内の競合他社の脅威
- 新規参入者の脅威
- 代替品の脅威
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力

上記の5要素を分析し、競合他社や業界の状況と収益構造を把握します。
把握したうえで、自社が収益を上げるために何が必要かを明らかにし、効果的なマーケティング戦略を立てるために活用します。
Webマーケティング戦略を立てる7つの手順
Webマーケティング戦略を立てる手順は、以下のとおりです。
- KGIを設定する
- ペルソナ設定をする
- カスタマージャーニーマップを作成する
- KPIを設定する
- 競合分析をする
- 分析した内容を基に施策を実行する
- 効果を検証してPDCAサイクルを回す
手順に沿って1つずつ解説します。
手順1:KGIを設定する
KGI(Key Goal Indicato)とは「重要目標達成指標」という意味のマーケティング用語です。
「Goal」という言葉からもわかるとおり、企業の最終目標を指します。チームの方向性を明確にするためにも、最終ゴールであるKGIを設定しましょう。
KGIを設定する際のポイントは「3年後に売上1億円を達成する」「1年以内にECサイトの売上を3倍にする」など、具体的にすることです。
具体的に設定できていると、あとで設定するKPIや分析がより効果を発揮しやすくなります。
>関連記事:KGIとは?設定方法や職種別の設定例を徹底解説!
手順2:ペルソナを設定する
まずは、架空のユーザー像であるペルソナを設定します。
ペルソナの設定では以下のような要素をイメージし、架空のユーザー像を作ります。
- 年齢
- 性別
- 住んでいる地域
- 家族構成
- 職業
- 年収
- 悩み
- 夢
- 趣味
- 日常生活
現実に存在しそうなリアルなユーザー像を作ることが、ペルソナ設定のポイントです。
また、ペルソナを設定するのに顧客インタビューも効果的です。
インタビューする際には、自社の商品やサービスを利用している理由・満足している点・不満な点などをインタビューすると良いでしょう。顧客が自社の商品やサービスに何を求めているのかが明確になります。
ペルソナ設定のやり方は以下の記事で詳しく解説しているので、ペルソナ設定がうまくできない方は読んでみてください。
>関連記事:ペルソナ設定の方法を初心者向けにわかりやすく解説【テンプレート付き】
手順3:カスタマージャーニーマップを作成する

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入し、リピートや口コミにつながるまでの流れをマップにしたものです。
このマップを作成すると、顧客のさまざまなニーズや購入プロセスを可視化できるため、商品やサービスをより魅力的に伝えやすくなります。
商品やサービスを魅力的に伝えられると売上の向上が期待できるため、カスタマージャーニーマップを作成してみてください。
作り方は、以下の記事で確認できます。
>関連記事:カスタマージャーニーマップの作り方7つの手順|効果的な使い方やおすすめツール・テンプレートも紹介
手順4:KPIを設定する
KPI(Key Performance Indicator)とは、日本語に訳すと「重要業績評価指標」という意味になります。
先ほど解説したKGIは最終ゴール、KPIはKGIを達成するための中間目標です。
例えば、KGIが「3年後に売上1億円を達成する」だった場合、KPIは以下が考えられます。
- 3ヵ月以内にコンバージョン率を1%→1.5%に改善する
- 半年以内に月間3万PVを達成する
- 1年後には月の資料請求数を10件→50件にする
KGIと同様に、具体的な目標にすることがポイントです。KPIの詳しい設定方法は、以下の記事で確認できます。
>関連記事:KPIとは?KGIとの違いや設定する手順をわかりやすく解説【設定例あり】
手順5:競合分析をする
競合分析は、自社の業界での立ち位置や競争力を把握するために重要な手法です。
競合分析を行う際には、以下のフレームワークを活用します。
- SWOT分析
- 5フォース分析
- 4P分析
上記のフレームワークを活用すると、競合・自社の強みや弱みを明らかにしたり、市場や社会情勢の脅威を把握できたりします。
また、商品・サービスの強みや課題を把握するために、SNSや口コミサイトを参考にする方法もあります。
>関連記事:競合分析のやり方がバッチリわかる!おすすめのフレームワークやツールも紹介
手順6:分析した内容を基に施策を立て実行する
競合分析を行い自社の強みや課題が明確になれば、あとは分析した内容をもとに施策を立て実行します。
自社の強みや課題が明確になると、どんな方法でユーザーに情報発信をしていくべきか、具体的な施策を考えていきます。
手順7:効果を検証してPDCAサイクルを回す
施策を実行したあとは効果を検証し、改善案を考えます。
考えた改善案を実行し、再び効果を検証するというPDCAサイクルをぐるぐる回していきます。

PDCAサイクルを回していくと、効果的な施策を展開できるようになります。
「施策を実行して終わり」ではなく、PDCAサイクルを回して施策の精度を高めていきましょう。
Webマーケティング戦略を成功させるための5つのポイント
最後に、Webマーケティング戦略を成功させるためのポイントを解説します。
- 顧客のニーズを深く理解できるまで分析する
- 優先順位をつけて施策を実行する
- 自社に適した施策を採用する
- 現実的なゴールと目標を設定する
- マーケティングの体制を整えて効率よく運用する
顧客のニーズを深く理解できるまで分析する
顧客が「どのような問題を抱えているのか」「何に関心があるのか」などを徹底的に分析しましょう。
顧客のニーズを深く理解できると、商品やサービスをより魅力的に伝えられます。
ニーズを深掘りする際には、顧客の行動データやSNSの投稿などを参考にすることがおすすめです。ECサイトの場合は購入履歴だけでなく、離脱したページや滞在時間なども参考になります。
顧客のニーズを深く分析したうえで、Webマーケティング戦略を立案していきましょう。顧客のニーズを深く理解するコツは、以下の記事で確認できます。
>関連記事:潜在ニーズとは?顕在ニーズとの違い、見つけ方や引き出し方を成功事例を交えて解説
優先順位をつけて施策を実行する
Webマーケティングにはさまざまな施策がありますが、すべてを同時に行うのは現実的ではありません。
時間や予算などの資源には限りがあるため、実行する施策には優先順位をつけることが大切です。
大きな成果が見込めるものや、比較的少ない資源で実行できるものから手をつけてみてください。優先順位を決めて計画的に施策を実行できると、効率よく目標の達成に近づけます。
自社に適した施策を採用する
会社の規模や業界、ターゲットとする顧客層などによって、自社に適した施策は異なります。
例えば、若年層がターゲットであればSNSマーケティング、BtoBであればホワイトペーパーやリスティング広告などの施策が適していると考えられます。
自社の特徴を理解したうえで、効果的な施策を採用しましょう。
現実的なゴールと目標を設定する
非現実的なゴールや目標を設定すると、Web担当者やチームのモチベーション低下につながり、Webマーケティングに失敗する可能性が高くなります。
そのため、現実的なゴールと目標を設定してみてください。
業界の標準や過去の実績などを参考にして、ゴールや目標を設定します。
例えば、売上をゴールに設定する場合、いきなり業界平均の2倍を目指すのではなく、現状の数値から10〜20%の改善を目指します。
現実的なゴールや目標を設定し、段階的にWebマーケティングを進めていきましょう。
マーケティングの体制を整えて効率よく運用する
Webマーケティングで継続的な成果を出すには、適切な体制を整えることが大切です。
運用体制が整っているとチーム内での連携が円滑になり、Webマーケティングを効率よく進められます。
具体的には、以下のようにして体制を整えます。
- 業務のルールを明確にする
- 社内の役割分担を決める
- 外部パートナーとの連携を検討する
- Webマーケティング業務で使うツールを選定する
小規模な組織の場合、Web担当者1人で複数の役割を担当することもありますが、専門性を考慮して役割を分担すると効率的です。
自社に適切な人材がいない場合は、外部パートナーとの連携を検討してみてください。
Webマーケティング戦略を駆使してゴールを達成しよう
Webマーケティング戦略を立てる際には、以下のフレームワークが役に立ちます。
- 3C分析
- 4C分析
- 4P分析
- SWOT分析
- STP分析
- PDCA
- PEST分析
- バリュー・チェーン
- 5フォース分析
上記のフレームワークを活用し、自社の強みや弱み、市場や社会情勢における脅威などを分析します。
分析したデータを基に、以下の手順でWebマーケティング戦略を立てます。
- KGIを設定する
- ペルソナ設定をする
- カスタマージャーニーマップを作成する
- KPIを設定する
- 競合分析をする
- 分析した内容を基に施策を実行する
- 効果を検証してPDCAサイクルを回す
リアルなユーザーをイメージし、ニーズを明確にしたうえでWebマーケティング戦略を立てましょう。
Webマーケティング業務を効率よく進めたい方は、以下の記事を読んでみてください。おすすめのWebマーケティングツールを紹介しています。