LTVとは
LTV(Life Time Value)とは、ひとりの顧客から生涯でいくら利益を得られたかがわかる指標です。
「顧客生涯価値」とも呼ばれ、1回の取引だけでなく、リピート購入の利益も含まれます。
例えば、顧客との取引が1回で終わってしまうよりも、リピートされて取引が継続したほうがLTVは高くなります。
LTVのマーケティングにおける重要性
LTVはマーケティングにおいて重要とされています。
顧客が生涯でどれだけの利益をもたらすかを理解することで、適切なマーケティング戦略につながるからです。
新規顧客の獲得には、リピーターの5倍のコストがかかると言われています。
苦労して獲得した顧客でも、取引が1回で終われば、得られる利益は少ないですよね。
LTVを高めれば獲得コストを回収しやすくなり、継続的な利益を生み出せます。
LTVは高いほどいい
LTVは高ければ高いほどいいです。
前述したように獲得コストを回収しやすくなるだけでなく、継続的な利益につながるからです。
ただし、コストを考慮することは欠かせません。
どれだけLTVが高い顧客でも、獲得コストが高すぎて採算が合わない場合、マーケティング戦略を見直す必要があります。
LTVの計算式
LTVの計算式は以下のとおりです。
平均購入単価×粗利率×1年間の購入回数×継続年数
例えば、粗利率20%で単価5,000円のサービスを毎月1回、5年間継続して購入した顧客の場合、
「5,000円×0.2×12×5=6万円」
LTVは6万円となります。
また、計算した数字から顧客の獲得・維持コストを引くと、コストを考慮したLTVを算出できます。
LTV5つの関連指標
ここでは、LTVの関連指標を解説していきます。
- CAC
- ARRU
- ARPA
- チャーンレート
- リテンションレート
CAC
CAC(Customer Acquisition Cost)は、1人の顧客を獲得するために生じた費用です。
CACの計算式:「新規顧客の獲得にかかった費用の合計÷新規顧客の獲得数」
新規顧客の獲得にかかった費用は、マーケティング・広告・営業などで発生したものが含まれます。
LTVを正確に把握するためには、顧客の獲得にかかったコストを把握することが欠かせません。
そのため、CACはLTVと関連性の高い指標です。
ARRU
ARPU(Average Revenue Per User)は、1ユーザーあたりの平均売上額です。
ARPUの計算式:「売上高÷アクティブユーザー数」
LTVの計算に必要である「平均購入単価」をユーザー単位で求める際に使います。
ARPA
ARPA(Average Revenue Per Account)は、1アカウントあたりの平均売上額を示す指標です。
ARPAの計算式:「売上高÷アカウント数」
平均購入単価をアカウント単位で求める際に利用されます。
チャーンレート
チャーンレートとは、商品やサービスの解約率のことです。
チャンレートには「カスタムチャーンレート」「レベニューチャーンレート」の2種類ありますが、ここではカスタマーチャンレートを紹介します。
カスタマーチャーンレートの計算式:「解約した顧客数÷顧客数×100(%)」
サブスクリプション型のサービスでは、継続的に利用されることで収益が向上します。
そのため、解約率を下げることがLTVの向上につながるのです。
リテンションレート
リテンションレートとは、商品やサービスの継続率です。
リテンションレートの計算式:「(期間終了時の総顧客数ー期間中に増えた新規顧客数)÷期間開始時の既存顧客数×100(%)」
継続率を高めると収益の向上につながるので、この指標もLTVと関連性が高いです。
LTVを最大化する5つのマーケティングプラン
ここでは、LTVを最大化するマーケティングプランを5つ紹介します。
- コストを下げる
- 顧客単価を上げる
- 商品をセット販売する
- 商品のバリエーションを増やす
- メールマガジンを配信する
ひとつずつ見ていきましょう。
コストを下げる
LTVを向上させるためには顧客単価も重要ですが、顧客を獲得するのにかかるコストも考慮する必要があります。
仮に顧客単価が上がったところで、獲得コストがかかるほどLTVが減少するからです。
コストを減らすには、以下の方法があります。
- 広告予算を見直す
- ターゲティングを見直す
- セグメンテーションを見直す
顧客単価を上げる
単純に顧客単価が上がれば、LTVも高まりやすくなります。
顧客単価を上げるには、以下の方法があります。
- 商品を値上げする
- 顧客との信頼関係を強化する
- 現状よりグレードの高いプランへの切り替えを勧める
商品を値上げするのがもっとも簡単な方法ですが、値上げして顧客に解約されるとLTVは下がるので、注意が必要です。
解約されないようにするためにも、顧客との信頼関係を築くことが大切です。
また、現状よりグレードの高いプランへの切り替えを勧める「アップセル」という施策もあります。
アップセルの具体例
- 最新機種のスマホを提案する
- サブスクリプションサービスでグレードの変更を提案する
- パソコンの買い替えを検討している顧客に対して、さらに高性能な商品を提案する
顧客との信頼関係を構築しつつ、顧客単価を上げていきましょう。
商品をセット販売する
LTVを高めるには、単品販売ではなくセット販売で売上個数を増やす「クロスセル」も有効です。
クロスセルの具体例
- ECサイトで検索した際に関連商品を表示する
- ファストフード店でセット商品を勧める(ポテトやドリンクなど)
- スマホを購入した顧客に保護ケースや液晶保護フィルムを勧める
自社で複数の商品を扱っている場合、セットで購入されることの多い商品を見つけ、顧客に提案するとよいでしょう。
また、セット販売はLTVを高められるだけでなく、顧客が商品を購入する際の手間を減らせるメリットがあります。
単品販売だけでなく、セット販売も検討してみてください。
商品のバリエーションを増やす
顧客単価を上げるために、商品のバリエーションを増やすのも効果的です。
顧客が商品を選びやすくなるだけでなく、より価格の高い商品を選んでもらえる可能性が高くなるからです。
具体的には「高級品」「中級品」「普及品」の3つの価格帯で商品を展開する方法があります。
購入してほしい中級品に高級品と普及品をはさむことで「安いほどいいけど、かといって品質の悪いのは嫌」という心理が働き、中級品を選びやすくなります。
これを「松竹梅の法則」と呼び、マーケティングでよく使われる手法です。
商品のバリエーションを増やして、顧客単価の向上を目指しましょう。
メールマガジンを配信する
LTVを高めるために、メールマガジン(メルマガ)を配信するのも人気の手法です。
メルマガを配信することで、顧客とのつながりを絶たないのが目的です。
ここで気をつけたいポイントは、メルマガの内容が自社商品の宣伝ばかりにならないようにしましょう。
具体的には、商品の使い方やクーポンの配信など、顧客に役立つ情報も提供します。
役立つ情報を提供することで、より自社商品に興味をもってもらいやすくなります。
LTVを向上させるポイント
最後に、LTVを向上させるポイントを解説します。
解約率を下げる
仮に商品やサービスを契約してもらっても、解約率が高いとLTVは下がります。
LTVを高めるためにも、解約率を下げる施策が欠かせません。
具体的には、以下の方法を実践すると解約率を下げる効果が期待できます。
- 顧客のニーズを満たす商品を開発する
- メールマガジンで顧客に役立つ情報を発信する
購買頻度を高める
顧客の購買頻度が高まれば、LTVは向上します。
例えば、以下の方法があります。
- メールマガジンを配信する
- リマインドメールを配信する
- 商品のバリエーションを増やす
また、購買頻度を高めるには、メールの開封やアクセス履歴などのユーザー行動を分析することも大切です。
分析した結果をもとに適切なタイミングでアプローチをかけることで、購買への導線を作れます。
まとめ:LTVを向上させてマーケティングの成功につなげよう!
LTVは、マーケティングにおいて重要な指標のひとつです。
顧客が生涯でどれだけの利益をもたらすかを把握することで、適切なマーケティング戦略につながるからです。
この記事の内容を参考にしてLTVを高め、マーケティングを成功させましょう。